1話 彼と彼女のプロローグ

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1話 彼と彼女のプロローグ

 ──疾走。ソレはただ思う。  深夜。マリオネッテ達の演舞も終わり、人通りの絶えたはずの街路を、無数の影が舞う。立ち込める深い霧を切り裂き、静寂を破り、ガス灯に影を揺らめかせながら、影は集い、次第に指向性を持つ。  向かう先はこの街の果て、九界の門(ナインズ・ゲート)。  生きてたどり着いたものは居ないとされる、この街の禁忌(タブー)。  無数にあると伝わる、異なる世界への入口  暗闇に、光条が咲いた。  警戒音が辺りに響く。 【侵入者発見侵入者発見コノ区画ノ立チ入リハ禁止サレテイマス】 『排除。前進。決して止まるな』  ──そうだ、これは我らの悲願なのだ。  リーダー機からの通信に、彼は武装を展開し加速する。すれ違いざまに高周波ブレードで切りつけ、先陣を切ると、仲間たちも我先にと進み出す。  からん、と落ちた偵察機は、奥に進んだ影達を見やり、ジジジと音を立てて、味方に警戒レベルの上昇を伝えると、そのまま機能を停止した。
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