情炎

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「…優真、声震えてる。」 俺が指摘すると優真がクッと顔を歪めた。 「…るせーよ。緊張してんだよ、バカ。」 放課後の教室。ふたりきり。 付き合ったばかりの俺達は、ぎこちなさと遠慮の(はざま)で自身の中に籠もる熱を持て余していた。 それは、16歳の体には抑えきれない程の熱。 それら全て初めのことで、それなのにそれは一般的とされるモノとは違う状態で。 だから、余計に戸惑っていたんだと思う。 男同士、とか。 どーやってやるかなんて、調べりゃそりゃ出てくるけど、調べるのも怖くて。ワルイコトをしているような気がして。 自分で自分が認められないのに、心内の赤い炎はますますねっとりと俺に絡みつく。 もう、自分じゃどーしようもない。 それは、優真も同じ。 だから教室でこんな状態になってるんだ。 煌々と夏の西陽が差し込む教室。 机に座る俺と、その机に手をついて俺の頬に触れる優真の影が長く、長く伸びる。 「…抑えろよ、バカ優真。」 「バカはお前だろ。…んな息荒くして説得力ねーよ 。」 陽の光を反射して優真のグレージュに染めた髪がキラキラと輝いた。 お互い顔が赤い。息も乱れて、 ダメだ、 ここ教室なのに。 見られたらやばいのに。 やばいのに、16歳の未熟で扇動的な欲望はますますのめり込もうとする。 初めての背徳に。
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