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旅の始まり
朝の6時10分騒がしい喧騒の中
僕は東京駅であさま601号を待っていた。
「なぁんで軽井沢なんかに行かなきゃならないんだ、僕は受験生だぞ、」
そう呟いてふと周りを見る。
ああ良かった誰も気にしていない。
6時23分まちくたびて駅弁を買いに行った僕が帰ってくると新幹線の前には列ができていた。
並んで待っていると
はらり
純白の帽子が目の前で落ちた
「落ちましたよ」と言おうと下瞬間
僕は息を飲んだ
なんて綺麗な髪なんだ
たおやかな髪と柑橘系のシャンプーの香り
鼻腔をくすぐる甘い匂いに僕は気が遠くなりかけた。
いかんいかんと頭を振り切り新幹線に足をかけた彼女に
「帽子落ちましたよ」
と声をかけた。
彼女は振り向くと「ありがとう」と僕に微笑みかけた。
僕は自分で自分に驚いていた。
「恋なんかありはしないんだ。」などと頑として恋を毛嫌いしていた自分が今この少女に胸をときめかせているのに驚いていた。
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