スズキヒロシとサトウタカシ

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近くだな。 スズキヒロシは営業車のハンドルを握りながら、カーラジオに耳を傾けていた。 『……サトウタカシ、25歳』 同い年か。 3人も殺すなんて何があったんだろう。 信号のない横断歩道の脇に立つ人影を目に停める。 ブレーキを踏み、幼い女の子と母親と思われる女性が横断歩道を渡り切るのを待ちながら考える。 『……サトウタカシ、25歳』 そういや、子供の頃、そんな名前の友達いたっけな。 明るくて面白くて、クラスの人気者だったけど。 あいつとは別々の中学に行ったから小学校卒業以来13年も会ってないのか。 ニコニコ顔の女の子が小さな手を目一杯高く上げて、お辞儀を繰り返すママの手を引き、目の前を通り過ぎる。 当時を思い出しながら、ゆっくりと営業車を発進させる。 まさか、あいつが? いやいや、人ってそんなに変わるものじゃないよな。 プルルルルルルル。 会社から支給されている営業用携帯電話の着信音が車内に響く。 営業車を路肩に停め電話に出ると、市役所からの注文だったので急いで市役所に向かう。
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