スズキヒロシとサトウタカシ

「蛍光灯の交換、終わりましたー」

市役所の職員に声をかけ、ボールペンとコピー用紙を所定の場所に収納しておく。

「スズキさん、いつもご苦労様」

女性の職員や高齢の職員の多い部署では蛍光灯の交換も重労働になっている。
文房具の営業をしているスズキヒロシは、このような雑用を担ったり、暇つぶしの話し相手になったりして注文を取っている。
最近ではネット注文ですぐに配達してくれるサービスが勢力を伸ばしている。
学校や市役所などを回り、足を使って仕事を取っている営業には厳しい時代になった。

「また、よろしくお願いしまーす」

料金は月末にまとめて振込決済なので、納品書だけデスクのおばさんに渡し、市役所を出る。