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「スズキー、スズキヒロシー!」
声のした方を向くと、体格の良い男が手を振りながらこちらに向かって歩いてくる。
「やっぱりそうだ、俺だよ!サトウタカシだよ!懐かしいな、小学卒業以来か」
13年も会ってないとお互い変わるな、と握手をしてくるサトウタカシ。
『……サトウタカシ、25歳』
スズキヒロシの頭の中を過ぎる3人を殺したという男。
「お、知り合いか?」
隣にいる爽やか青年に気付いたサトウタカシ。
スズキヒロシは事情を説明する。
「駅に行きたいんだって」
「あー、駅だったら、そこの信号を右に曲がって、ずーっと行ったらあるから。もし分かんなかったら、そこらへんでまた聞けば大丈夫。んじゃ」
片手を上げて爽やか青年に挨拶し、強引に話を終わらせる。
力任せにスズキヒロシの肩に手を回し「今から時間あるか?」と耳元で言うサトウタカシ。
断るという選択肢はない、という威圧感が伝わってくる。
午前中の仕事はさっきの市役所で終わりだったから、一緒に昼飯を食いに近所のファミレスに行くことになった。
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