スズキヒロシとサトウタカシ

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駐車場で営業車に乗り込もうとしたところで後ろから声をかけられた。 「あのー、駅はどっちですか?」 お馴染みの光景である。 振り向くと痩せぎすの男が立っていた。 ヨレヨレの黒いTシャツにジーパン。長めの前髪で顔の上部が隠されていて目が見えない。 ふと、頭の中を過ぎる、 『……サトウタカシ、25歳』 まさか、目の前の男が3人もの人を殺したのか? よくよく見てみると、確かに何かヤバそうな雰囲気が漂っている。 なるべく距離を取っておこう、と思っていた時、マナーモードにしておいた会社支給の携帯電話が振動した。 背中を見せると危険だと思い、横目で痩せた男の行動を監視する。 痩せた男に許可を取り電話に出ると小学校からの注文の電話だった。 ちょうどよいタイミング!と思い、先ほどのサトウタカシと同じように手早く駅への道を教えて、小学校へ向かった。
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