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学力が似通っていたせいか、2人とも同じ高校に進学した。地味メガネは成長期に入ったようで、するすると私の背を追い越していった。その頃には家の行き来も途絶えてしまっていた。お互いに忙しいのだ。地味は地味なりに。普通は普通なりに。田舎の高校生にも、都会の情報を知る方法はいくらでもあった。学生らしい範囲内で、少しずつ私も化粧が派手になっていく。
2年生になると、私はクラス内ヒエラルキーでは中の上を目指した。学校内の流行にのって制服を着崩し、短いスカートのプリーツをしわ1つなく整え、かわいいを目指して背伸びしている、普通の女子高生。
あいつは地味グループの、単に天パーの背が高い奴と認識されていた。整った容貌は、大人の男性になろうとする変化と中性的な美しさを保とうとする不変の力の綱引きで、どこか歪に崩れており、髭面の幼児といったようなアンバランスさがあった。少年から脱皮中だったのだろうと今は思う。
あいつとは偶然同じクラスになったが、特に話すこともなかった。別に避けているわけでもなかった。所属するグループが違っただけだ。
当時、私たち女子高生の夢中になるものといえば、やはり恋愛だった。バスケ部の○○君がかっこいいと騒げば、塾のバイトの大学生が大人っぽいとのめりこみ、実は隣のクラスの平凡君と付き合うといった日々に、皆色めき立っていた。
私はというと、昼休みによく中庭で見かける笹井先輩がいいなと思っていた。バレー部で鍛えられた身体に対し少し甘いマスクで、いつも仲間とじゃれあっている姿が魅力に思えたのだ。毎日チラチラ見ていると、相手だって思春期だ、気づいて声をかけてきた。一緒に見ている友人たちと口に手を当てて目を見合わせ、内心できゃあきゃあと声をあげる。
「いつもここで休憩しよるよなあ。何食べてんの?」
興奮を隠せず、上ずった声で返事する自分がいる。
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