0人が本棚に入れています
本棚に追加
まるでシャボン玉のように
鳴くたびに弾ける羽先の光
流れに身を任せて空に向かう
喜びを噛みしめた力強い歓声
それは森の先端から
深い海の底まで
花火のように
打ち上がっていく
お前たちの住んでいる故郷は
今も光が届かない
誰も見たことがない
あたたかい土に囲まれて
知らない間に
夏の花が咲いて
さようならの言葉に
音階を割り当てていく
黄昏の音
別れの音
悲しい音
思い出の音
遠くから見える
公園の小さな光の中に
昼間見た小さな影が
まだ隠れているのかもしれない
帰ろう
来年の夏が来る前に
手の届きそうな
巨大な入道雲がぼくたちをさらう前に
帰ろう
来年の夏も
網を片手に
またお前たちを迎えに行くから
最初のコメントを投稿しよう!