詩「セミの詩」

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まるでシャボン玉のように 鳴くたびに弾ける羽先の光 流れに身を任せて空に向かう 喜びを噛みしめた力強い歓声 それは森の先端から 深い海の底まで 花火のように 打ち上がっていく お前たちの住んでいる故郷は 今も光が届かない 誰も見たことがない あたたかい土に囲まれて  知らない間に 夏の花が咲いて さようならの言葉に 音階を割り当てていく              黄昏の音       別れの音       悲しい音       思い出の音 遠くから見える 公園の小さな光の中に 昼間見た小さな影が まだ隠れているのかもしれない 帰ろう 来年の夏が来る前に 手の届きそうな 巨大な入道雲がぼくたちをさらう前に 帰ろう 来年の夏も 網を片手に またお前たちを迎えに行くから
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