イグニッション

2.見た目は子供。

あり得ない話をしようとしても、いつもはぐらかされてしまう。

よくわからない人だと言われて、こちらは？になる。どうして、こんな子なんだろ？不思議と答えに窮する。

今でも私はよくわからないんですけど、ガキというより、若造と言った方が、腑に落ちる。

子供みたいな人だと思っていたのに、意外と、今時の若者みたいな気風を備えて居る。話し言葉と裏腹な、態度に出逢った人間は、まずそのギャップに意外性を感じる。

僕が彼に対して、感じるのは、ジェネレーションギャップを感じてしまう。

僕は彼と言う男に対しては、律儀に礼儀作法を徹して、関わらなければならないと、肝に命ずるだろう。

小説家で、それなりにトレンドに乗って、彼はそんな僕を知り、一目を置き出してくれたのだった。僕は、彼に対して、いつも怒らせない様に気を遣って、話さなければならなかった。他の若者と比べても年齢差が大きく、私はノリが合わせられない。僕は、若者とかは苦手なんだ。何か、彼等とは相性が悪い。完全に舐められてしまうからか、僕も余り、彼等とは話したいとは、思えない。だから、距離は開く一方であった。

僕が読んでいる教科書は使い古された、古本の様な新しい知識ではない。それに比べて、彼等の見て居るものは、現代語訳された、綺麗な文庫本の様な、真新しい教科書である。僕の教科書は、ページの端っこが曲げられてしまっていて、彼に対して、本当に知識に対しては、申し訳なく思ってしまう。彼の役に立てそうにない。そんな、不甲斐なさを感じてしまう。