酔っぱらいの戯言

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「じゃあ……私はそろそろ帰ろうかな」 私がバッグを持って立ち上がろうとすると、彼はその手を掴んで私を引き留めた。 まさか飲み代を踏み倒そうとしていると思われたのかな? 自分の飲み代くらいは払うつもりでいるのに。 「心配しなくても自分の代金くらい払って帰るよ?」 「そんなこと考えてないって。せっかくだからもう一軒行かない?俺、マジであんたととことん飲みたい気分」 そんなことを言われても、もうすぐ終電の時間だ。 明日は土曜で仕事は休みだから付き合ってあげてもいいけど、給料日前なのでもう一軒の飲み代と帰りのタクシー代を払うのは痛い。 「あー……私もそうしたいのはやまやまなんだけど、もうすぐ終電の時間だし……。私、ここの飲み代払うとあんまり手持ちがないからタクシーにも乗れないし、始発まで帰れなくなっちゃうんだよね」 やんわりと断ったつもりなのに、彼はまたおかしそうに笑いながら私の背中をバシバシ叩いた。 「なんだ、それなら心配しなくていいよ、俺が全部払うから」 帰りの足とお金の心配さえなければなんの問題もない。 じつは私も、もう少し飲みたいと思っていたのだ。
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