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こんなことを言うつもりはなかったのに苛立ちが抑えきれず、とんでもなく卑屈でイヤな言い方をしたと自分でも思う。
これにはさすがに安藤部長もカチンと来たらしく、思いきり顔をしかめた。
「なんだそれ?俺がいつ真央の顔が地味とか気に入らないなんて言った?俺は真央の様子がいつもと違うから心配しただけで……」
「だったらご心配なく。私はこれが普通です」
私が語気を強めてそう言うと、安藤部長は私の体をグルンと自分の方に向け、両手で私の頬をガシッとつかんで顔を近付けた。
すぐ目の前にあるきれいに整った顔が憎らしい。
「これが普通って、どっからどう見ても普通じゃないじゃん!そんくらいは俺にだってわかる!」
「私の何がわかるって言うんですか?私のことなんて何も知らないのに!」
「何がって……」
安藤部長は少し困った様子で口ごもった。
口だけならなんとだって言える。
好きでもないのに酔った勢いで結婚しただけの、一部下の私のことがわからないのは当然だ。
むしろわかる方がおかしいし、わかってもらおうとも、安藤部長が考えていることをわかりたいとも思わない。
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