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モニクは恥ずかしくて仕方なかった。
ティナにすがるしかないこと、そしてティナの言った意味を理解したからだ。
当時、モニクはティナが迫害から逃れてきたことを知っていた。それが魔法使いだからとは知らなかったが、子供ながら、何かに追われひっそりと暮らさないといけないティナを不憫に思っていた。
モニクは思い出す。
「生きたいように生きられないなんて間違ってる!そんな世界、私がぶっ壊してあげるから!」
そんな大言壮語を話し、ティナがキラキラした目で聞いていた。
だがティナは一族に連れられ去って行った。普通の生活を望んでいたのに魔法使いの修行の出されてしまったのだ。
「なんで忘れてたんだろ……。枠は壊さなきゃいけないんだ……」
ティナのために世を変えるつもりだった。だが今では社会の枠に縛られ、自分も自由を失っていた。
モニクは窓から這い出ようとする。肩がつっかえて痛むが、構っていられない。
「出られた!」
窓枠から飛び降る。
ティナが禁忌を犯してまで町に現れた理由。それはモニクに会いに来たからに違いない。ならば追いかけなければいけない。
かつてはモニクが前を行き、ティナが追ってきてくれた。しかし、今は逆になってしまっている。
「魔法使いって世界を変えられるの!?」
ティナの姿が見え、モニクは大声で叫んだ。
ティナが振り返る。
「世界は変えられない。でも人を動かすことはできる」
「なら、二人で時代を進めよう!」
モニクはティナの手を取り、二人して夜の草原を駆けた。
あの日できなかったことをし、これからできることをする。二人はすでに自由だった。
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