EP2 奈々

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そろそろだろうと思った まさみちゃんはある時突然電話をかけてきて こう言った 『隼人くん、話したい事があるんだけど、2人で会えないかな?』 誘いを断る事も考えたけど どう考えても、いつかこの時が来るのだから それならばと思い誘いを受けた まさみちゃんはとびきり可愛いワンピースを着て待ち合わせ場所に現れた いつもみんなで遊ぶ時は、カジュアルな服が多い そして車を近づけると、とびきりの笑顔を向けてくれた 『隼人くん!迎えにきてくれてありがとう』 『お待たせしました』 まさみちゃんが車に乗り込むと、何だかとても甘い香りがした 『隼人くん、クッキー作ってきたよ!』 『おお!ありがとう!クッキーなんて作れるの?すげー!』 俺はまたいつもの通りにまさみちゃんの欲しがるリアクションをしてしまっていた 俺は本当にダメなやつだ しばらく車を走らせたが、どこに向かえば良いのかがわからない 静かな場所は何となく無意識に避けてしまっていた たわいもない話をずっとしていたかった そんな時だった 『隼人くん、あのね』 『というか、ごめんね。困らせてるの分かってる』 まさみちゃんが話し始める 『言わなくてもいいのかなとも思ったんだけど、やっぱり私は伝えたいと思った。隼人くん私は』 『隼人くんのことが好きです』 まさみちゃんは、冷静で、しっかりとした口調で話を続けた 『けどね。私は隼人くんのことがずっと好きだったから分かるよ。』 『隼人くんの事を私が想うように。隼人くんも、今、、、、恋をしてる』 まさみちゃんは俺の目をしっかりと見て、更に話を続けた 『隼人くんは、、奈々の事が好きなんだよね?』 俺が今まで、何度も何度も考えては 向き合わずに逃げてきた事 けれどきっとそれは、まさみちゃんが認めたくない事実であり、1番口にしたくないであろう言葉だったのだろうと思った 『まさみちゃん、ごめんなさい。俺はまさみちゃんに全てを押し付けて、、、こんな風な事まで言わせてしまった。』 『まさみちゃんの気持ちは嬉しいけど、、、』 『まさみちゃんが言ってくれた様に、俺には今、好きな人がいます。』 今まで認めたく無かった感情を次々と言葉にしていく 『まさみちゃん、おれは』 『奈々の事が』 『好き、、です』 はじめて自分の奈々への気持ちを 外へと出した瞬間だった そこに奈々は居ないけれど そしてまさみちゃんが話を続けた 『隼人くん。気持ちを聞いてくれて、ありがとう。気持ちを教えてくれてありがとう。私もすごくすごくスッキリしました』 『私は奈々の事も大好きだから、奈々の事を好きになる隼人くんの気持ちもすごく良くわかるんだ』 『うん、、、、ありがとう』 そのまま2人は黙っていて 静かに静かに時が過ぎる 更に車を進めていく もう少しで まさみちゃんの家だ 『隼人くん。今日はありがとう』 まさみちゃんは静かに そう言った 『ごめんね。今日は、、スッキリとした形で、、終わりたかったのだけれど、、、』 まさみちゃんは何かを伝えようとしている 何だか少し嫌な予感がした 『隼人くん。奈々にはね』 『お付き合いしている人がいるよ』 俺の予感は 見事に的中した
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