EP2 奈々

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『お待たせ〜』 夏真っ只中のとある日 俺がはじめて 奈々と話した日 『あははは〜!!なにそれ〜!!!』 『とりあえず、コンビニいこ〜♪』 大盛り上がりの車内でも 奈々はひたすらマイペースに窓の外を眺めていた 時折笑うけど 奈々の心はきっと 空の上にあった コンビニに着くと みんなは飲み物や花火を物色していた 車から1番最後に降りてきた奈々に俺は 『飲み物買う?』 と聞いた 奈々は 『ううん。烏龍茶持ってる』 と言った いつもの俺なら 『はい』と午後の紅茶でもこちらで先に買っておいて、女の子に手渡していたかもしれない 女の子は 『え?いいの?ありがとう!』 なんて言いながら 喜んでいたのかもしれない けれどもなんだか奈々には それが上手にできなかった 花火が始まると 奈々はバケツに水を汲んできてくれていた ロウソクを立てたのも奈々だった 奈々が選ぶ花火は 全て誰かが選んだ後のものだった 心地よいスピードで 奈々は動く 会話は少ないけれど 奈々のそれは 本当に美しいものだった
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