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まるで誘われるかのような朧月夜に、私はとんでもない者に出逢った。
The Grim Reaper―― 死神
「ねぇ、なんで逃げるんだよ」
「そんな奇妙な身なりしてたら誰だって逃げるわよっ」
ブラックローブスタイル。フードを頭からバッサリ被った姿だけで、十分に怪しい。
「ちょっと待って、月華!」
いつもの帰り道。うっすらと見える月をぼんやり眺めていたら、この『死神くん』に追いかけられるはめに。
「やだ、ついて来ないで。……って、なんで私の名前……!?」
駆けていた足を止め、思わず背後を振り返る。
「だって俺、死神だし?」
『死神くん』は、くっくっと可笑しそうに笑った。
「な……っ、あんたやっぱり変!」
今どきそんなつまらない冗談、笑えやしない。
「月華、とりあえず落ち着いたら?」
「もう、誰のせいで走ったと…… 顔くらい見せなさいよ!」
『死神くん』のフードを思い切り引っ張る。
「え……!」
フードの中から現れたのは、可愛らしい顔立ちの美少年。
甘々な笑顔がやけに眩しくて、私は一瞬言葉を失った。
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