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もう十年以上前の話しなのに。
「やっと思い出した?」
写真と律を見比べる。僅かに面影が残ってる。
「ん、思い出したわ」
周りの子達はどんどん退院していく中で、私達はいつも取り残されてずっと一緒だったっけ。
「こんな古い写真、まだ持ってたのね」
「だって、ずっと逢いたかったし。月華に」
顔が火照る。律の瞳が嬉しそうに私を見つめてるから。
「しばらくいるから、安心して」
ひとりでいるのはやっぱり怖い。素直に律に甘える事にした。
深夜になり、日付が変わった頃にそれは届く。
『三日。お前は家の中。放火事件に巻き込まれ、死亡』
『五日以内に答えろ』
律と顔を見合わせる。このマンションが火災に?
「貴重品まとめろ。これが悪戯ならいいけど念の為だ」
律に急かされ、とりあえずの身の回りの物と貴重品をカバンに詰め込む。
「とにかく、急ぐぞ」
律の行動は早かった。荷物は駅のコインロッカーへ入れて、律は携帯を取り出しどこかに電話を掛け始めた。
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