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罪により、死亡___
ラインの文字が、幾度も目に浮かぶ。
男は薄ら笑いを浮かべ、近付いて来る。玄関は男の背の向こう。
リビングの窓を開けた。ベランダは無い。此処は二階、だけど迷っている場合じゃない。
男は刃物を振り上げる。殺される。私はその窓から飛び出した。宙を感じる暇も無く、裸足のまま、次の瞬間には地面に転がっていた。
鋭い痛み。上を見上げると見知らぬ男はこちらを覗き込んでいる。窓から男の顔が消えた。追いかけて来るかもしれない。
生きたい。律にまた逢いたい――!
痛む足を引きずって、目の前の家の入口に逃げ込む。門の影に身を潜めてしばらく様子を伺う。男は追っては来ない。
どうするか迷っていた時、青木先輩が向こうから歩いて来た。
「先輩!」
潜んでいた入口から、先輩を呼び止める。
「びっくりした、どうしたの、裸足で」
私はさっき起きたばかりのことを話す。先輩はアパートの周りを確認し、私を手招きした。
男は消え去り、特別部屋の中は荒らされた様子も無い。
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