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私は今までの事情を先輩に話して聞かせた。
「わからないんだ? その答え」
「何を聞かれているのか、さっぱり」
「罪が何かも? 覚えはまるで無いの?」
罪___
私は頷いた。身に覚えは無かった。
「それが、貴方の罪よ」
え? 思わぬ先輩の言葉に、驚いて先輩の顔を見た。いつもの面倒見の良い、おおらかな先輩はそこにはいない。
私を射抜く冷たい瞳。笑みの無い冷たい顔をした女がそこにいる。
この人は、誰。憎む様な瞳で、私を見るこの人は。
「種明かしの時間よ」
意識が揺らいだ。身体から力が抜けて行く。しまった、珈琲に何か盛られていた。気がついた時には既に身体が崩れ落ちた後だった。
「不可解だったでしょう? 携帯も時計も、ちょっと頭脳と技術があれば容易いのよ。そうね、バスジャックは予測外だったわ。気を失っていた貴方を、私が部屋まで連れて帰ったの。あの場は混乱してたし、貴方一人連れ出すなんて案外簡単だったわ。時間を細工して、既に起きている事件をラインした、それだけ。」
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