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「私、あの時、銃で撃たれて・・・」
身体は痺れて動かない。だが、声は出せた。
「意識の無い貴方に、撃たれた場面の映像を繰り返し見せたの。効果はあったわけね」
ニヤリ微笑む。ゾクッとするその表情。青木先輩は明らかに私を憎んでいる。
痺れが切れた時には、椅子に縛りつけられた後だった。
「カフェは仕組んだわ。あの客がバイトの女にストーカー行為をしてるのは以前から知ってたから。焚き付けたら思惑通り動いてくれたわ」
まるで別人。淡々と話す姿は優しかった先輩ではもう無い。
「放火? あぁ、あれはホームレスに金を渡したの。まさか、捕まるなんてね」
交錯した時間の謎が解けていく。知りたくなかった、こんな真実。
「種明かしの時間は終わりよ」
怖い。誰か助けて―― 律くん……!
「あと三日、苦しめてからと思ってたけど。昨日、偶然に会うまではね」
空白の三日なんか、存在しなかった。どんどん解けていく不可解な出来事。
「月華、轢かれそうになった猫を助けたでしょう?」
先輩の表情が、さらに歪んだ。随分前の話しだ。
「背後で事故が起きた事、知らないなんて言わせない」
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