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「律くんが、助けてくれたの……?」
陽射しを受けて律がやわらかに微笑んでる。
律は送信元を突き止めて、青木先輩を問いただそうと部屋を訪れたと話す。
「先輩は……?」
「ごめん、俺、警察に突き出せなかった。彼女の表情を見たら……」
青木先輩の真っ赤に泣き腫らした瞳を思うと、もう、それでもいいと思えた。
―――
夢か現実なのか。嘘か真実なのか。解けない答えを求めて彷徨った。
あれから青木先輩の消息は知らない。時折、あの出来事は幻だったのかもしれない、そんな風に思う。
今でも、携帯を開くたびに苦い傷みを思い出す、交錯の幻。
でも、ひとつだけ素敵な事が起きた。
「月華、見て!」
『死神くん』は『彼氏』に格上げになった。
「すごく綺麗な月……!」
うっすらと見え隠れしていた月が、まるで手が届きそうなくらいに近くに見える。二人で夜空を眺めて肩を寄せ合う。
朧月夜に律が私を見つけてくれた。もう一度、律に出逢えてよかった。
「やっぱり律って……」
「え? なにか言った?」
律の横顔を見て思う。あの時、迎えに来てくれた貴方は。
愛しい私の天使さん――
[END]
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