月華 -Angel of Death-

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上目遣いで私を見上げる律。 「俺はすぐにわかったんだけどな」 律という名前にも聞き覚えがない。でも、律くんの方は私を知っているみたい。 「とりあえず、帰ろっか」 「帰る? 帰るって?」  私の住むマンションはすぐ目の前。でも初対面同様の律の前で帰るわけにはいかないかな。  なのに、何故。 「俺んち、ここだから」 律が指さしたのは私と同じマンション。 「え? なんで!?」 「なんでって、今日越してきたばかりだけど」 律は立ち上がり戸惑った私の肩を軽く押す。 「月華(つきは)もここでしょ、朝、見かけたんだ」 さらりと言い、すたすたと歩いて行く。  こんな偶然をどう理解しろと。もしかしてストーカーとか。ん〜、そんな奇妙な出来事には見舞われてないし。  あれこれ思いを巡らせてる間に、マンションに辿り着き、律はエスカレーターに向かう。私は慌ててその後を追った。  そして、二度目の何故。 「なんでお隣さんなのよぉ」 私の雄叫びは狭い通路に響き渡った。
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