月華 -Angel of Death-

8/19
前へ
/19ページ
次へ
「六日以内に、何を答えろ、っていうの」    まさか。いや、もしかしたら。これも本当に起きる事件なの? 考えてもわからない。解けない謎が怖い。  ひとり考えていると、玄関の呼鈴が鳴り響く。そっと小窓を覗くと律が立っている。 「引っ越しの挨拶。はい、これ」 熨斗のかかったタオルを手渡されて、ぎゅっと握りしめる。 「月華(つきは)? どうかした?」 「なんでもないわ」 懐っこい笑顔が心配そうに私の顔を覗き込む。 「なんかあった? 話し聞くよ?」 優しい表情で言われて、張り詰めていた怖さが和らぐ。 「紅茶、淹れて?」 「ん、……わかった」 昨日出逢ったばかりなのに。律はなんだか信じられる気がして。 「中に入って」 私は紅茶を淹れて、律に昨日から始まった奇妙なラインを見せた。 「今日、バイトは?」 「怖くて休んだの」 律はちょっと考えこんだ後、放り出してあったパソコンに目を向けた。 「ちょっと借りるね」 私の携帯電話を片手に何かを調べ出す。   
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加