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それからしばらくして、私の携帯にカフェの先輩から着信が入る。
「ええ。は、はい。それで……。はい、わかりました」
耳を疑った。携帯を切り、呆然とした。
「どうかしたか? 真っ青だぞ、月華」
「バイト先の先輩が、お客に刺されて病院に運ばれたって」
その為に、カフェが数日休みになる緊急連絡だった。
殺傷事件に巻き込まれ、死亡__
予告された出来事が、また起きてる。
律も一瞬、言葉を失っていた。
「月華、大丈夫か?」
大きく首を横に振る。震えが止まらない。
「俺がそばにいるから」
でも。私はまだ、律の事だってよく知らない。
「律くん、貴方は誰……?」
「あぁ、忘れてた。見せようと思ってたんだっけ」
律はキーボードから手を離して、胸元のポケットから一枚の写真を取り出して私に手渡す。
七、八歳くらいの男の子と女の子が、白いベッドの上で並んで笑顔を見せている。
「これ、私……!?」
そうだった。この頃は身体が弱くて、長期入院をした事があった。
「そ、隣が俺ね」
覚えてる。病院の子供スペースでよく一緒に遊んだ優しい男の子がいた。
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