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「ココア王子?」
赤面していると、守永さんが首を傾げた。自分のことだと気付いていないようだ。わたしは「何でもないですっ!」と両手を振って「ホットココアですか?」と訊ねた。
「いや、アイスココアでお願いします」
笑った頬にえくぼが出来て、わたしは「はい」と微笑んだ。
──
拝啓。お父さん、お母さん、ひより。そちらはどうですか?
希望がなかったわたしに、一緒に生きていきたい、大切な人ができました。
わたしがそちらに行くのは、まだ先のようです。
これからまたわたしに困難が降りかかるかもしれませんが、大切な人たちがいれば乗り越えられると思います。
いや、乗り越えられます。
なので、温かく見守っていてください。
──
「お待たせしました。アイスココアSサイズです。今日もお仕事、頑張ってください」
「ありがとう。さくらさんも、頑張ってくださいね」
わたしからココアを受け取る際、守永さんはそっとわたしの手を包み込むように受け取った。一瞬で顔から火が出る。またもや莉衣菜ちゃんに目敏く見つかって、ジト目でわたしたちを見た。
「あーやしぃー。店長、莉衣菜の告白の返事、まだですか? いい加減付き合ってくださいよ」
「いや、もうちょっと待ってよ。俺だって色々考えてんだから」
莉衣菜ちゃんに迫られてタジタジの羽原君。わたしはまさかの発言に驚いた。
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