スマイル・アゲイン

20/20
173人が本棚に入れています
本棚に追加
/182ページ
「え、嘘。二人ってそういう関係だったの?」  莉衣菜ちゃんは平然と頷いた。 「そうだよ。最初はただの金髪ピアスのチャラ男だと思ってたけど、仕事熱心だし、なにより不憫で不憫で……一途だし、店長だし、結構優良物件だと思って莉衣菜から告白したの。まだ返事くれないんだけど」  ところどころ何を言っているのかよく分からなかったが、莉衣菜ちゃんと羽原君、すごくお似合いだと思う。思わずニヤニヤ顔で羽原君を見ると、思い切り顔をしかめられた。 「正社員になった途端、夜勤入れまくってやる」  うわ、パワハラを公言された。すると莉衣菜ちゃんが勢いよく手を挙げた。 「店長。その夜勤、全部莉衣菜とさくらちゃん二人にしてください。夜中にさくらちゃんと一緒に働けるなんて、そんな幸せなことない!」 「え。そこは店長と二人が良い、じゃねぇの?」 「店長よりさくらちゃんの方が好きなので」 「え、結局俺はフラれんの? 独りなの?」  ギャアギャアと騒いでいると、守永さんに「さくらさん」と呼ばれ、「お客さんです」と手で示された先には看護師さんがいて、「あのー、注文良いですか?」と遠慮がちにやって来た。  わたしは心の底から笑顔で言った。 「いらっしゃいませ!」 END.
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!