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「どうして……?」
花那は昨日間違いなくメッセージの送り主のアドレスをブロックしたはずだった。だが送られてきたメッセージのアドレスは昨日と同じように見える。
そのアドレスも意味深で……
「soma-riena@ ……颯真さんと、もう一人はりえなさん?」
まるで恋人同士だと言わんばかりのそのアドレスに胸がキリキリと締め付けられるような気持ちになる。よく見れば記号が変わっている気もする、つまり……わざわざアドレスを変えてまで花那にメッセージを送ってきたらしい。
今までりえなと言う名前が颯真の口から出てきたことはない。もともと彼は職場での出来事など滅多に話さないから花那が知るはずも無かった。
『別れろ』『離婚しなさい』『愛されているのは私』『颯真さんは子供を望んでいる』
同じような言葉が繰り返し送られてきていた。ただその大量のメッセージもある時間でピタリと止まっていたが。花那はその時間に覚えがあった、ちょうどその時間に時計を見たから。
「颯真さんに電話がかかってきた時間……?」
電話は病院からだと颯真は言っていた。だがこんなピッタリにメッセージが止んだ事と無関係だとは思えない。もしあの電話が病院からではなく「りえな」という名の女性からだったのだとしたら?
「まさか、本当に……そうなの?」
花那は不安で押し潰されそうになり、そのまま椅子へと力なく腰かけた。
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