伝える想いの深さに

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花那(かな)! 良かった、ちゃんと待っててくれたんだな」  息を切らせてショップへと入ってきた颯真(そうま)に花那は驚いた。電話の様子がおかしかった気はしたが、まさか走ってきたのだろうか? そう思ったが、彼が車のキーを手にしているのに気付いてホッとする。  それでも近くの駐車場からそれなりの距離はある、やはり颯真の額には汗が滲んでいた。 「颯真さん、どうしたの? 急にこんな所まで来るなんて仕事は大丈夫?」  真面目な颯真が仕事を放りだしてしまうなんて、信じられない。きっと彼に何かあったに違いないと花那は考えたのだが…… 「いいんだ、仕事の事は気にしなくて。俺には今すぐに花那に会うことの方が大事だったから」 「颯真さん、もしかして……」  花那はやっと颯真が彼女に送られてきた大量の嫌がらせメールに気付いたのだと理解した。それならば颯真はどういうつもりで自分に会いに来たのか。  ……花那の心と瞳が不安で揺れる。 「気付かなくてすまなかった、俺の所為で花那に嫌な思いをさせてしまって。まさか、院内にあんなことをする看護師がいるなんて思わなくて……」  颯真は花那の前で頭を下げる、ショップのスタッフや客に注目されても気にせず花那に謝ってみせた。そんな颯真を連れて花那は店を出ると、二人きりになれそうな場所を探した。
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