七色の物語

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昼食のあと、パパの仕事が終わるのを待ちながら、姫とお人形さんで遊んだり、しりとりをしたり、姫が好きなアニメの映画を一緒に観たりした。 今度はおえかきしよう、トランプしよう、と姫の興味は瞬く間に移り変わっていく。 そのうち、「えほん、よんで」と本棚から一冊の分厚いアルバムを小さな体いっぱいに抱えて持ってきた。 「それは絵本じゃないんだよ」 そう教えてあげると、姫は「おひめさまでてこないの?」と不思議そうに首を傾げた。 「おひめさまはでてこないけど、しりとりが苦手な女の子と、かっこよくて優しい男の子がでてくるよ」 姫の目が輝いた。 「そのおはなし、ききたい!」 姫から受け取ったアルバムを開くと、そこにはあどけない顔の幼い女の子と、その子と同じ年頃の男の子が映った写真が綺麗にファイリングされていた。 それぞれの写真に、一言ずつ言葉が添えられている。 まだ漢字が読めない姫には難しいらしく、「なんてよむの?」と私を見上げた。 姫が指をさす先には、女の子が男の子におんぶされている写真があった。 ふたりとも、恥ずかしそうにカメラのレンズから視線を逸らし、ほっぺたを赤く染めている。 「これはね、『夕立のあとにかかる虹』って読むんだよ」 虹を背に撮られたその写真がきっかけとなり、当時の情景が鮮明によみがえってきて、あまりの懐かしさに私は目を細めた。
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