バク2

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バク2

それを見付けたのは本当に偶然だった。 残り僅かな夏休み。 選択で美術をとっている生徒のみが登校日だった。 帰りの下駄箱。 スニーカーに履き替え、上履きを仕舞おうと持ち上げた時、底に何かが張り付いている事に気が付いた。 それは水色で無地の、何の変哲もない小さな付箋。 剥がして確認すると、暫く踏み付けていたせいでかなり汚れているが、ボールペンで書いてある内容は読み取れた。 『@tapirus_0123』 「…たぴ…?…ていぴる?」 見慣れない英単語。 何かのアカウントの様だが…。 「アズミ?行くよ。」 先にローファーに履き替え終えた優里亜が外から声を掛けてきた。 私は適当に上履きを放り込むと、乱暴に下駄箱の扉を閉じる。 「ごめんごめん!すぐ行く!」 付箋は咄嗟にスカートのポケットに突っ込んだ。
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