バク7

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バク7

高校に入学した時。 私は自分のキャラクターを考えて使い分ける事にした。 女子の調和は決して乱さず、男子に対しては異性性を感じさせない様に今まで以上に男っぽく振舞う。 それでも距離感には十分気を配った。 特に誰かの好きな男の子に対しては、二人きりにならない様に気を付けたり、絶対にボディータッチはしない等、細心の注意を払った。 努力の甲斐もあり、私が浮く事はなかった。 女子からは「女子力が低く、敵にならない」、「どうしようもない子」と位置付けられ、面倒見の良い子達には可愛がられている。 男子からは「可愛くない。けど面白い奴。」と認識され、漫画の貸し借りや、ちょっとした雑談に混ぜてもらったりしている。 小学校の時程何も考えずに楽しくやれる訳では無いが、中学校の時程自分を偽って居心地悪く過ごす必要もなくなった。 ジャンケンで負けて仕方なく決まった図書委員。 週一回の当番を違うクラスの女の子と一緒にやる事になった。 それが優里亜だった。 優里亜は誰がどう見ても女の子だ。 身体も、立ち居振る舞いも、声も、顔も。 全てが紛う事無き、完璧な女の子。 だけど全くタイプの違う私にも寛容だ。 一緒にトイレに行こうとか、「女の子なんだから」とか強要しない。 「アズミは面白いからそのままで良い。」と言ってくれた。 こんな女子力の欠けらも無い私なんかに恋愛相談もしてくれた。 当然役に立つ意見なんて出来る筈も無く、私は聞くだけで精一杯だ。 それでも「アズミは他の女の子と話の聞き方が違うから参考になる。」と笑ってくれた。 私は心の底から思った。 優里亜の事は絶対に大切にしよう。 可児君を傷付けてしまったみたいな間違い方は絶対にしないんだと。 2年に上がると同じクラスに優里亜がいた。 そして優里亜が思いを寄せている男の子も。 私はこれから過ごす、優里亜との楽しい毎日を想像し胸が踊った。
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