終わりなき恐怖

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終わりなき恐怖

年賀状には…… 「秋に同級生と再会、意気投合。  2人で一緒に暮らしています」 連名 やつだ!やつからの年賀状だ! 自作!自転車!連名!? 住所、教えてないのに! あっ!実家に送ってきたんだ…… 転送されてきたんだ…… 何で?何で? わざわざ、年賀状? しかも自転車! 幸せです、アピールですか? お前なんかより先に、お前なんかよりいい女と、お前なんかよりずっと、幸せなんだよ! アピールですか? 見せつけですか? 嫌がらせですか? 意味がわからない! 怖い…… ただただ 怖い…… やつの、にやついた顔を思い出してしまったじゃないか! どうしよう、これ…… この紙、どうしたらいいの? この部屋のゴミ箱に入れるの、やだ…… 形を残したくない! 破ったら、タタリがありそう…… 燃やす? それも何だか後が怖い…… 考えて考えて、実家に出向いた…… 「見て!年賀状がきた!自作の!気持ち悪い!どうしよう?」 「ん?ふーん。捨てちゃいな」 冷静な姉の言葉に救われた。 罪はないが、残念ながら気持ち悪いものに なってしまった、1枚の年賀状。 あっさり、実家のゴミ箱行きとなった。 それから数年。 何も言ってこないし、何の気配もない。 「怖いでしょう!」 「気持ち悪いでしょう!」 すべてが笑い話になっている。 でも決して忘れることはできない。 腕の傷跡も、消えることはない。         完
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