もう一人のシンデレラ

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むかしむかし、ある所に 意地悪な母親と腹黒な姉3人と一緒に住むぽっちゃりとした子が居ました。 その子はシンデレラといい 母親や姉から酷い仕打ちをされながら 日々暮らしていました。 何処かへ行くにも 『お前はその部屋から出なくていい』 と仲間外れにされたり、 部屋の掃除をしようとすれば 『私たちが掃除した方がキレイになるからアンタはしなくていい』と 何もさせてもらえませんでした。 私には、此所にいる価値なんてあるのかしら、とシンデレラは泣きながら日々を耐えていました。 そんな中、王宮からパーティーのお誘いの案内が届きました。 母親や姉は大喜び。てんやわんやとパーティーの準備をするではありませんか。 それを見たシンデレラは、私は行かせてもらえないのだろうとため息をつきました。舞踏会行ってみたいなと思いつつ眠りについたのです。 それから数日。 王宮から遣いの人が大勢やってきたのです。我が家は大パニック。 遣いの人が言うには 『王子は一目惚れした女性がいる。舞踏会で会い、その人はすれ違い様にガラスの靴を落としたそうだ。この靴を履ける人を探している』とのこと。 試しに姉たちはその靴を履いてみるがブカブカで履けません。街中の女性全員に試しているということで、もちろんシンデレラにも声がかかりました。 身に覚えがないけれど、この生活から抜けだせれるならと、綺麗に輝くガラスの靴に足をそっといれました。 すると、どうでしょう。 なんとシンデレラにぴったりではありませんか。 遣いの者たちや母親や姉たちからも歓声の声があがりました。 『王子を呼んできますね!お迎えにあがります』 そう言って遣い達は一旦引き上げました。 現状を把握しきれてないシンデレラは母親や姉たちに訊ねました。 すると、にこやかな顔で 『姉たちにお前の真似をさせ、靴を置いてきたのよ』 『これも玉の輿のため』 『貴女は何もしなくていいのよ』 次々と耳を疑う言葉が出てきて、目眩がしそうなシンデレラ。 震える声で聞いてみました 『私の体重を支えれるガラスの靴なんてないわ、こんな嘘すぐバレるわ』 クスクスと笑う姉たちは 『大丈夫よ、強化ガラスで作らせた特注品だから壊れないわ』 『ここの王子、ぽっちゃり好きだから、きっと幸せな生活が送れるわよ』 『今までと変わらないように寵愛してくれるわ、頑張ってね』 最後の別れのようにシンデレラを抱き締めました。 『お迎えにあがりました』 再び遣いの人がやってきました。 その後ろには、目をぎらつかせた王子もいて この時シンデレラは声にならない叫びをあげた。
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