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「ちょっと待ってろ」
「社長、ここは私が……」
「お前はじっとしてろ。足が痛いんだろ」
「え?」
どうしてそれを……? そんな素振り見せたつもりはなかったのに。
匠馬は、すみませんと頭を下げた澪を置いて、店の中へと入って行く。そしてものの数分で戻ってくると、小袋を差し出した。
「もう閉まるらしい。これしか売ってなかったが、食べておけ」
「あ、ありがとうございます。お金お支払いします」
「そんなのいいから早く食え」
「あ、はい」
袋の中を見ると、肉まんが二つ入っていた。中から出した途端、ふわっといい香りがして、またお腹が鳴った。
「田舎のコンビニは24時間じゃないんだな」
「そういえば、うちの田舎のコンビニも、21時で閉まってました」
「そういうものなのか」
きっと匠馬は都会生まれの都会育ちなのだろう。店じまいを始めたコンビニを、興味深そうに見ている。
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