第一章

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「あの、社長は……」 「俺のことは気にするな。いつも食事時間はばらばらで遅いことが多いんだ」 匠馬はいつも遅い時間まで仕事をしていて、ながらで食べることも多く、不摂生気味だということは、澪も知っていた。身体を壊さないか密かに心配している。 「では遠慮なくいただきます」 はむっと思いっきり頬張ると、肉汁がじゅわっと口の中で広がり、幸せな気持ちになる。肉まんを食べるのはすごく久しぶり。 その時ふと、誠のことを思い出した。お金に困っていると言っていたが、ちゃんとごはんは食べているのだろうか。なんの連絡もないということは、まさか……。 まがまがしいことが頭を過る。 「どうした? 嫌いだったか?」 「あ、いえ。そういうわけでは……」 「君はたまに悩ましい顔をする。もし何か困っていることがあれば、すぐに言え。手を貸す。君には感謝しているんだ」 「感謝、ですか?」 肉まんを持ったまま、キョトン顔で問う。澪には匠馬に感謝されるよう覚えが全くなかったのだ。 そんな澪を前に匠馬が、ぽつぽつと話し始める。
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