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「君の仕事ぶりは前社長から聞いてる」
「そうですか。なんなりとお申し付けくださいませ」
淡々と答える澪を前に匠馬は眉根に皺を寄せる。
「もっとリラックスできないのか。息が詰まるだろう」
「出来かねます。失礼に当たりますので」
まっすぐ匠馬を見つめたまま答える。そんな澪を見て、匠馬は思わずふっ、と笑ってしまった。
「アンドロイド秘書か。確かにな」
「……っ」
その発言を澪は聞き逃さなかった。そのあだ名は澪にとって心地の良い物ではない。
昔から澪は愛想がないと言われ続けてきた。精いっぱい笑っているつもりでも「アンドロイド」「お地蔵様」「ロボット」などと揶揄され、ある日を境に、愛想笑いをすることをやめた。何をしてもそう言われるのだったら、しない方がましだと思ったのだ。
そのせいで恋愛経験はなく、いまだ処女。田舎に住む母、光江には早く結婚して孫の顔を見せろとせっつかれているものの、そううまくいくものでもない。
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