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春、新入社員が入ってきて、どこの企業も新人教育で忙しい。特に右も左もわからない新入社員。優しく丁寧に教えて、よく事悪い事、仕事内容、業界作法等あらゆることを身につけて貰わなくていけない。
ここ、プラチナベッド産業株式会社も例外ではない。
今年は10名の新入社員がこの会社に入社してきた。
そして、この新入社員の教育係には、入社歴6年目の名寄 麻子が担当になった。入社式は明日行われる。麻子は、高鳴る鼓動と入社式の準備で23時近くまで残業していた。
入社式当日、麻子は入社式が始まる1時間前には出社して会場の最終準備と、受付との打合せをして待っていた。
入社式開始30分前、数名の女性が受付に来て入社式の手続きなどをして案内を受けていた。案内を受け終わると会場に来て前の方に座った。
入社式開始15分前、ほとんどの新入社員が会場の席に座っていたが、後1人の新入社員が見当たらなかった。受付にも確認したがまだ見えていないと。
入社式開始5分前、受付の方からなんだか騒がしい事になっていた。麻子はそれを見てすぐに受付に駆けつけると、カウンターの前で金髪のスーツ姿の青年が鞄の中を漁っていた。麻子は、受付の村上さんに状況を聞く。
どうやら、この金髪の青年は、今日必要な書類が見当たらないみたいである。
流石に開始5分前なので、麻子は金髪の青年を会場に案内をしようとした瞬間、「あったー俺の生命線」と叫びながらぐしゃぐしゃになった書類を出した。
「おねぇーさん、あったよ書類!じゃ、会場に案内してよ。あ、そっちの可愛い娘でね」
「ちょっと、あんた非常識じゃない!」と麻子が言うと。金髪の青年は、麻子に向かって「なんだ、このおばさん。」と言った。麻子は、それに腹を立てたが後ろから会長が、「何て元気のいい、青年だ。名寄君、すぐに彼を会場に案内したまえ。」と微笑みながら言ってきた。
金髪の青年は、「そのおばさんより、こっちのねぇーちゃんに手を握って案内して欲しいな」と言い始めた。
会長は、それを丁寧に断り、会場の案内をした。
麻子は、怒りは収まらないが、会場に向かった。
入社式は、始まり新入社員がメモなどを取っていた。金髪の青年は相変わらずふてぶてしく、スマホをいじるなどさて、人の話を全く聞かなかった。何度か、麻子は注意するがその度に舌打ちをして、手からスマホを離した。
入社式は、10分遅れで終了した。この後は、研修並びに実習、自己紹介となった。
新入社員は、この会場で昼休憩を取って貰い午後の自己紹介の準備などをしていた。金髪の青年は、相変わらずスマホゲーム、食事など取らずにひたすらゲーム。自己紹介の準備なんてしていない始末。
麻子も、昼休憩を取って食事等していた。一応新入社員の為に同じ会場で、昼休憩をしていたが、どうもあの金髪の青年について気にくわなかった。会長のあの優しすぎる甘々な対応にも納得いかなかった。
麻子が、新入社員時代は、そんな事をすれば先輩に怒られるし、そもそも緊張とかで、あんな態度にならなかった。
それを思えば、今の新入社員は······と思ってしまった。
そんな姿を見た会長は、麻子に近づき「今の若者は怒ったり、否定すれば、すぐに騒いで文句を言う。SNS等でそれを呟けば会社まで巻き込んでしまうからな」と言った。
麻子は、「そうですけど、流石にあれは社会人としてあり得ないですよ。非常識です。」と言う。
「名寄君、君は色々な事を経験して、大人過ぎるかもしれない。けど、この経験もして貰って今後に役立て欲しいのだ。これは私からのお願いだよ」と会長は話した。
麻子は、「経験ですか···」と言い会長に返事をして午後の準備を始めた。午後になり、研修が再開された。
新入社員は、1人5分の持ち時間で、自己紹介を始めた。
最初は、飯田橋 星羅から始まり
東大卒の長岡京 博と、順番に自己紹介をしていき、最後はあの金髪の青年である。
「え、俺の名前は瀬谷21歳、趣味は、ナンパ、喧嘩、バイク飛ばし、好みの女とやっちゃうこと。この後、飯田橋ちゃんは俺様の所に来て、シクヨロー
あと、高校時代同級生の陰キャムカついて、いじめてたので、長岡京て言う陰キャ、俺のいじめに耐えてね」
麻子は、怒り満ちてきた。いい加減な自己紹介、なめきった態度。あまりにも酷すぎると思い、瀬谷の所に向かった。
すると、会長が瀬谷前に立って、静かに話始めた。
「瀬谷君、だっけ?君は元気が良くて良いね。中々良い自己紹介だったよ。」
「そっすか、じゃ、いいんじゃね?この会社、俺がいて」
「そうだね、君のおかげで良い会社になるよ。二度と君みたいなガキを採用しない教訓になって」
「はぁ、おっさんなに言ってるの?さっき誉めたばっかりじゃないすか。」
「誉めた?ガキの貴様をけなしたんだ!2度と来るなこの会社に!出ていけ」と会長は今までに無い怒りを見せてきた。
「なんすか、急にキレて更年期?あ、今流行りのパワハラ。パワハラ受けましたー訴えまーすーこのおっさんを」
「瀬谷君、さっきから私をおっさんて言うけど、この顔を忘れたの?」
「おっさんに知り合い居ね~し」
「そうか、じゃ今井 千美鶴を知ってるね。」
「今井?あ、もしかて!あの陰キャ学級委員長女の」
「そうだよ、学級委員長のだよ···」会長は体が震える。
会長は、新入社員の前で、娘さんが高校時代、瀬谷にいじめなど受けていた事を話した。特に酷いのは、新聞に載るほどの強姦事件だった。瀬谷は、会長の娘の注意に腹を立てたて、近くの公園のトイレで数人の男子と強姦をし、裸の写真をバラ撒いたとの事。その後、瀬谷は証拠などが無いと言う理由で、不起訴となり、会長の娘さんは部屋で首を吊った。
その後、会長は何度も控訴したが、被害者死亡で立証が出来ずに無罪。後に、全ての裁判で瀬谷の親父と、国で裏取引をしていたのが判明。瀬谷は本人は、それを明るみになると逃亡した。
その2年後に思わない方で再開することになった。
この事は、新入社員だけではなく、テレビ電話で取引先並びに、関係先の会社にも中継して、瀬谷を社会的に抹消をした。
瀬谷は、この事が明るみになった。驚いていた顔は、すぐに意識を取り戻して、今度は顔を赤くして叫びながらパイプ椅子を振り回した。会長の腕や、新入社員の顔面に当たり、数名が怪我をする惨事となった。
すぐに警察がきて、瀬谷は傷害罪で逮捕、その後連行されて行った。最後の最後まで「会長殺す」、「俺は#$&&%$#"」と訳のわからない事を叫んでいた。
瀬谷は多くの余罪があった為、懲役刑になった。会長はその報告を聞いても顔色を変えずに仕事をしていた。
この後、新入社員は、会長の話を聞き各部署の配属実習になった。
普段温厚で優しい会長、その人が、怒った姿は一部の人にしかわからない姿である。
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