そして二人は歩き出す

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そして二人は歩き出す

「じゃあチート君、早速実験をしようか!」 「え、今からっ? ていうか、切り替え早くないか!?」 「切り替えの早さは生きていく上で必要だよ?」 「まぁ、そうなんだけどさ……」  正論なだけに、返す言葉もない。  言いたいことはすごくよく分かるけど、もう少しムードというものが―― 「……なぁ、一ついいか?」 「ん?」 「その『チート君』って、止めないか? 何か恥ずかしいし」  すっかり忘れていたが、『チート』はさすがに痛すぎる。  マチコに悪気は全くないだろうが、これではムードもへったくれもない。  かっこいいからと彼女が付けてくれたあだ名を、嬉しさのあまり調子に乗って受け入れたあの頃の自分を呪いたい。 (そういや、今思えばちょっと不思議な感性してたな。ドワーフを可愛い萌えキャラだとか言ったり……)  マチコが、きょとんと目を丸めた。 「何で? かっこいいのに」 「…………」  マチコの感性も、子供の頃から少しも変わっていないようだった。
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