5人が本棚に入れています
本棚に追加
そして二人は歩き出す
「じゃあチート君、早速実験をしようか!」
「え、今からっ? ていうか、切り替え早くないか!?」
「切り替えの早さは生きていく上で必要だよ?」
「まぁ、そうなんだけどさ……」
正論なだけに、返す言葉もない。
言いたいことはすごくよく分かるけど、もう少しムードというものが――
「……なぁ、一ついいか?」
「ん?」
「その『チート君』って、止めないか? 何か恥ずかしいし」
すっかり忘れていたが、『チート』はさすがに痛すぎる。
マチコに悪気は全くないだろうが、これではムードもへったくれもない。
かっこいいからと彼女が付けてくれたあだ名を、嬉しさのあまり調子に乗って受け入れたあの頃の自分を呪いたい。
(そういや、今思えばちょっと不思議な感性してたな。ドワーフを可愛い萌えキャラだとか言ったり……)
マチコが、きょとんと目を丸めた。
「何で? かっこいいのに」
「…………」
マチコの感性も、子供の頃から少しも変わっていないようだった。
最初のコメントを投稿しよう!