魔法使いになった幼なじみ

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 ジョセフは最近、昼寝をするといつも同じ夢を見ていた。  丘の上に、女の子と二人で座っている。歳の頃なら12歳前後。女の子の名前は、キャサリン。  隣の家に住んでいた幼馴染。  同じ歳の少女、子どもの頃の友達、初恋の相手。  ジョセフも子どもに戻っていた。 「私、今度、引っ越すの。ジョセフと離れ離れになるのは嫌。家出してくるから、かくまってくれないかな。」 「だめだよ。」  キャサリンは、小さい頃から、自由奔放だった。親と喧嘩して、ジョセフの部屋に転がり込んだこともある。かくまったジョセフは、親に見つかり、こっぴどく叱られた。 「魔法使いになったら家に入れてやる。それまでは、だめだよ。」  ジョセフも、離れ離れになるのは嫌だったが、また、無茶をされてはたまらない。世の中には、魔法使いが、何人か、何十人かいるらしい。親が魔法使いじゃないとなれない決まりがあると言うことも聞いたことがあった。  だから、キャサリンが無茶をしないように、ジョセフは、無理なことを言った。 「わかった。魔法使いになったら、来るから。」  それ以来、キャサリンには、会っていない。あの日の情景が、毎度、夢となって再現される。  いつものように、キャサリンと別れるところで、目が覚めた。
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