ヒューマノイド

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それから時間は飛ぶように過ぎていった。 覚えることは山積みで、家に帰ったら最低限の家事をこなすのが精一杯の毎日。 それでも職場の人たちのおおらかな人柄と墨田さんのフォローもあって、何とか仕事をこなせるようになってきた。 教育係についたのが墨田さんで本当によかった。サバサバテキパキしていて、私が間違えたときは同じミスをしないように一緒に対策を考えてくれる。 女性社員が少ない環境も手伝って、墨田さんとは先輩後輩の垣根を越えて仲良くなりつつあって。 忙しくも充実した日々に、卒業アルバムの件も記憶の淵に追いやられていた、そんな頃だった。 「うわぁ。すごい量ですね」 墨田さんが外周りで出払っている最中。ベテラン事務員の西原さんの仕事を手伝うように言われて手を付けたのが、書庫にある大量の書類の整理。 「なかなか手をつけられなくてねぇ。手伝ってくれて助かるよ」 保管期限を過ぎている書類を処分したり、まだ残しておく書類は電子ベースに移したりと、談笑しながら作業を進めていった。 「和泉ちゃん、仕事にはもう慣れた?」 「はい。おかげさまで。墨田さんの教え方が上手いので助かってます」 「それはよかった。墨田ちゃんも、同い年の子が入ってきて喜んでるんじゃない?」 思わず作業をする手が止まった。 「え……墨田さん、私と同い年なんですか?」 「あら知らなかった?あの子短大卒だから入社年度は早いけど、歳は和泉ちゃんと一緒よ」 「そう……だったんですか」 てっきり知ってるもんだと思ったわ、という西原さんの声が遠く聞こえた。 代わりに、忘れかけていた卒業アルバムの写真が脳裏に浮かび上がる。 やっぱり墨田さんとあのアルバムの女の子は同じ人なんだ。きっと墨田さんも忘れちゃってるんだ。私が彼女のことをすっかり忘れていたように。
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