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10
ミオは、沼の少女だったのだろうか。
俺は、ミオに取りつかれているのだろうか。そうしていつか俺も、ケンジのように引きずり込まれるのだろうか。
でもあの日、ケンジはミオに助けられたんじゃなかったのだろうか。
――水に、落ちていくのは私。
俺は今日も寄り道をする。
最近多いかもしれない。
沼の淵に立った。供養塔には白い花が飾られている。
「ミオ」
沼の中央に、ぼんやり白いものが浮かんでいる。
白い花束を抱えた女の子に見える。
俺はしばらく眺めていたが、視線を外すともと来た道を戻った。
「また来てね」
背後で、女の子がそう言った気がした。
俺は、いつまでこっち側にいられるだろうか。
~終わり~
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