親友

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親友

洋一は子供の頃から体が弱くて、学校の体育の授業とかでも休んでばっかだった。 なんでも、生まれた頃からある持病が関係しているらしい。 他の子はそれを聞いて「サボりたいだけなんじゃないのか」と洋一を疑った。 だけど、洋一の幼なじみである俺は知ってる。 本当に、体が弱いんだって。 外で遊ぶこともままならないくらい。 だけど洋一は、健康的に育った。 中学、高校、大学、そして社会人へと。 俺らは立派な大人になった。 俺は上京して、洋一は地元に残った。 それでも、幼なじみで一番の親友、という関係は崩れなかった。 だがある日、そんな関係がまっさらに消えていった。 洋一が、亡くなったらしい。 急いで地元に戻り、友達から話を聞く。 どうやら、急に持病が悪化したらしい。 手を尽くす暇もなかったと。 俺は後悔した。 もし、もし俺が上京せずに地元に残っていたら。 そしたら、洋一のそばにいれて、変化にもいち早く気付くのに。 葬式が執り行われた。 親族や親戚、親友のみで。 静かに横たわっている洋一を見て、信じられなくなった。 ただ、眠ってるだけじゃないか。 生きているように見える。 そんな洋一の顔に滲む微笑みは、俺が見た中で一番優しかった。 親友を失い、俺は都会での仕事を辞めた。 なんだか、また地元から離れると後悔しそうで怖かった。 一度都会に戻り、荷物をまとめ、また地元に戻ってきた。 仕事は友達から紹介されたのをやっている。 なぁ、洋一。 お前は天国で、幸せに過ごしているだろうか。
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