べろべろちゅう

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べろべろちゅう

きんきん、 きらきら、 ぎんぎん、 ぎらぎら、 ぎんっぎん、 ぎらっぎら 俺には派手な服が似合う 派手な車に 上等な靴 それから いい女に いい男 それを従わせる俺は 一番いい男だ 【べろべろちゅう】 女の顔を、額と顎を持って上へ向かせる。 開いた口はなんとも穴、それ以外に言うことはない。そこに突っ込んでやる。自分の意思と関係なく通常より多く分泌された唾液を舌にまとわりつかせて、焦らすようにゆっくりと舌を出した。 女はパクパクと獲物を待ちかまえている。 いやしい女だ。赤い口紅を塗った唇、一ミリ、しかしはみ出ている事を俺は言ってやらない。 優しくはない、のさ 。 ただ、女が発情期を迎えているから、その機会に美味しくいただければ女が恥をかこうがどうだっていい。 俺はただ、ぬらぬらとした自分の舌を女の大きく開いた口に差し込んで、上下に舌を吸ってやるだけだ。女はたまらず俺の首に手をかける。 俺は女の腰に手をかける。ぬちゃぬちゃと水音をたてて生暖かい口の中をかき回して、舐め回して犯す。 乳房の先を少しひっかいてやれば、女の中で期待はどんどん高まるだろう。いいか、最初からつまんだり、いじくっちゃいけない。女は想像逞しい生き物だ。 自分の脳で自分の体を追いつめる。 さあ、落ちてこい。 「ああ、たまんない」 女はうっとりと体を反らせて悦に入る。 俺はクリーム色のスーツ、白は好きじゃないんだ、ちょっと澱んだ色がいいんだ。女は赤い口紅の色と同じドレス、さあ、ベッドに行こうかワルツを踊るようにそのまま俺の首に手をかけておけ、エスコートするんだから、お前の左手を貸してくれ。 「俺と、手を繋ぐのは嫌かい」 そう微笑んでやれば女はお姫様気分で手を優雅に差し出した。 「後藤さん、いい男ね」 うっとりとする女に笑いかける俺は悪い男さ。そんな台詞を口には出さずにゆっくり笑ってやった。 「3Pが良かったかな」 「女が泣きますよ、二人に攻められるなんて。嫌がる女も多いでしょう」 「誰が女を二人で攻めると言った」 「え」 シンデレラが一夜の夢を終えて元のねぐらに帰った後で、俺は煙草に火をつけた。 ダブルベッドの真ん中を一人で占拠するのは実に快感である。 「女は俺が抱いてお前が俺を抱くに決まってる」 「それこそ泣きますよ。…ああ、大丈夫ですね。こりゃ本物だ。あそこの社長もこれでなにもかもパー、だ。自分も駄目になるってえのに女って奴は一時の快楽に全てを捧げるんだもんなあ」 「人間みな下半身の欲求には勝てないのさ」 煙を吐き出しながら、きわどい事を呟く俺に呆れたような顔をする男が一人。 ベッドの横にある机に座って、女が亭主から黙って抜き出してきた裏帳簿を調べている。 俺の優秀な部下だ。 俺は優秀な、悪い、いい男だ。 俺は三枚目の顔をして部下に媚びた。 「なあ日吉、俺は金の為に体を売った可哀想な男だよ。お前だって、その金で食っていけるんだ。少し位、慰めてくれないか」 男がため息をついてベッドに向かって歩いてくる。 一ラウンドが始まる前に手早く煙草の煙を摂取する俺。まずはこのヤニ臭い唇を舐めてくれお前の舌で清めてくれよべろべろと猫のように。 そして それから おたのしみ、だ。 きんきん、 きらきら、 ぎんぎん、 ぎらぎら、 ぎんっぎん、 ぎらっぎら 俺には派手な服が似合う 派手な車に 上等な靴 それから いい女に いい男 それを従わせる俺は 一番いい男だ 誰にも 俺の邪魔はさせないぜ 生きている限り 俺は ぎんっぎん ぎらっぎら 輝いて 死ぬ 【べろべろちゅう】完
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