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「桃華見てー。綺麗でしょ?」
満面の笑みをした紗耶香が見せてきたのは、赤色が透き通り宝石のように綺麗な小石だった。
五センチ程ある大きさの石は、紗耶香の手掌の上でキラキラと光っている。太陽の光が差し込む位置でもないのに不思議な石だと思った。
「どうしたの?これ。」
「昨日たまたま見つけたの〜。骨董品を売ってるお店があってね。何でも願いが叶うんだって〜。」
「えっ、何か怪しくない?いくらしたの?」
「もう、桃華は心配性だな〜。大丈夫だよ〜。気休めだよ、気休め。だって300円だもん。」
まぁ、300円なら気休め程度にしかならないか。紗耶香が高額な物を売りつけられたのかと少し心配したけど大丈夫なようだ。
「これで大好きな奥村先生を手に入れるのー!」
紗耶香はやたらと気分が高揚しているようで舞い上がっている様子が伺える。
私には特に叶えたい願いもなく関心がないので、どうでも良かった。
石一つで願いが叶うなんてそんな甘い話はないし、万が一本当に願いが叶うならイチ女子高校生が、そんな簡単に手に入れられるのもおかしな話だ。
叶う叶わないは別にして、本当にみんなおまじないとか占いとかお守りとか好きなんだろう。
特に恋する紗耶香にとっては必須のアイテムなようだ。
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