打ち合わせ

1/1
前へ
/36ページ
次へ

打ち合わせ

以前の喫茶店に行くと、八時より少し前だった。 初対面の敦くんはタバコを吸わないかも知れない。今のうちにーー。 浩司はタバコに火をつけて、しばらく宙を眺めてはタバコの煙を吐き出す。 この事件、被害者たちの共通点などがまだわからないままだが、本当は単なる自殺なんだろうか?? 漠然とそんな事を考えている。 と、その時、カランカランと入り口のドアが開いた。 「おーい!こっちだ!こっち」 俺は精一杯の声を出して彼を呼んだ。 来たのはマモルだった。 「待ったか?」 「ちょうどタバコを1本吸ったところだ。ところで敦くんはタバコは??」 「吸ってるから気にしなくていい!」 「良かった」 そんな会話をしていると、噂の敦くんがきたようだ。 「アツシ、こっちだ」 マモルが呼び掛ける。 「悪い、遅くなったーー」 軽くそう言って、アツシは頭を下げた。 アツシはボーズに近いくらいの短髪で、鼻の上にニキビの様なものが出来ている。 目元が離れていて、顔のバランスがアンバランスだ。 こちらを見てニコヤカに言った。 「遅くなりすいません。マモルのイトコのアツシと言います。始めまして」 そう言って、アツシは手を差し出した。 俺もまた自己紹介をしてから、その手を取った。 「よろしく!」 二人の声がはもる。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加