夕暮れキンダーガーデン

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夕暮れキンダーガーデン

(あき)ー。寄り道してかない?」 放課後。 急ぎ足で教室を出ようとする私を、親友の(たまき)が呼び止めた。 私はずりおちそうになったショルダーバッグの紐を押さえながら振り返る。 「あー、ごめん。わたし、今日からしばらく駄目なんだ。妹のお迎えがあるの」 「お迎え?」 「そう、母親入院しちゃってさ。妹の面倒みなきゃ。だから放課後は幼稚園のお迎え」 「入院!?大変じゃん。大丈夫なの」 「んー、なんか切迫早産?とかなんとか。赤ちゃん早く産まれそうなんだって」 「……ああ、そっか。晶のとこ弟産まれるんだっけ」 「まあね。でも予定日は再来月だから、今産まれたら早すぎるらしくてさ、しばらく入院して安静にするんだって。おかげで私が家のことやらなきゃだよ。めんどいなー」 唇を尖らせる私を、環が驚いたように見つめている。 「…なに、環?」 「なんか晶、冷静だなって。心配じゃないの?」 「………。 安静にすれば多分大丈夫って言ってたからね」 「そっ、か。うん、そっか。きっと大丈夫だよ。ママ代わり頑張れよ、晶」 「………うん。サンキュ」 手を振る環に見送られ、私は教室を出た。
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