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117.ミカエルとマルバスもお友達だよね?
作った池にお水を入れる。わくわくしながら、パパと僕は庭に出た。パパの魔法でお水を入れるんだよ。抱っこで池の中を覗く。一緒に隙間を埋めた池は、白く乾いてた。
「ここにお水入れるの?」
「そうだ。魔法で入れるからすぐだぞ」
パパが僕を抱っこしたまま、何か呟いた。聞いたことがない言葉が終わると、池の中に水が湧いてきた。いきなり出てきた水は透明で、とても綺麗。光が反射してきらきらした。
「こないだの魚、もう放した? あれ……いないね」
突然現れたのはミカエルだった。白い翼を広げて、空中に浮いてる。見上げる僕の首が痛くなっちゃう。
「カリスの首が痛くなるから、降りてこい」
「……うーん、隣で怖い顔してる悪魔を遠ざけてよ」
パパが声をかけたのに、ミカエルは変なことを言う。隣はマルバスだもん。いつも優しいのに、そんな呼び方したら嫌だな。首が疲れたので俯いた僕は、撫でる手に気づいてまた顔を上げた。
「ごめん、君のお友達なんだね。失礼な言い方をした」
頭を撫でたミカエルが謝った。
「マルバスはいい人だよ。だから仲良くして」
お願いしておく。だって僕の大切なお友達なのに、マルバスとミカエルが仲悪いと悲しい。少し考えて、ミカエルは両手を重ねて「ごめんね」ともう一回謝ってくれた。
「陛下、カリス様の友人に天使はちょっと」
「僕のお友達なのに、ダメなの?」
文句を言ったマルバスに尋ねる。うっ! と言葉に詰まったマルバスへ、パパが説明を始めた。ミカエルは僕を傷つけないと誓約? したこと。僕が前に顔の黒い天使に誘拐されたから、マルバスは心配だったみたい。
「僕、もう拐われたりしないよ。ミカエルはパパと僕のお友達だから、悪いこともしないと思う」
「「「友達……」」」
皆で同じこと言うんだね。お友達でしょ? 首を傾げると、曖昧な笑みを浮かべて顔を見合わせた。それから僕に向かって頷く。ほら、やっぱりお友達だった。パパとマルバスがお友達で、パパがミカエルとお友達。だからマルバスとミカエルもお友達になれるよね。
「カリス、水がいっぱいになったぞ」
「うわぁ! 本当だ! お水、外に漏れてない?」
「確認しようか」
パパに言われて、僕は一緒に池の周りを歩いた。水が漏れてる場所はないみたい。もう少し時間が経ったら、もう一度確認するんだって。
「確認が終わったら水を出して、土や草を入れような」
「うん!」
土と石と草を入れると、お魚の家が出来るんだよ。プルソンに教えてもらったの。上から鳥に襲われないよう、草の影に隠れるお魚もいるんだよ。
「カリスはちゃんと勉強して偉いな」
パパの言葉が嬉しい。お風呂のお魚、早く池に入れてあげたいね。
「……いろいろ、本当にごめん。風呂に入れたんだね……迷惑かけたのは分かった」
ミカエルが申し訳なさそうに謝るけど、僕はお魚嬉しかったよ?
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