117.ミカエルとマルバスもお友達だよね?

1/1
3237人が本棚に入れています
本棚に追加
/209ページ

117.ミカエルとマルバスもお友達だよね?

 作った池にお水を入れる。わくわくしながら、パパと僕は庭に出た。パパの魔法でお水を入れるんだよ。抱っこで池の中を覗く。一緒に隙間を埋めた池は、白く乾いてた。 「ここにお水入れるの?」 「そうだ。魔法で入れるからすぐだぞ」  パパが僕を抱っこしたまま、何か呟いた。聞いたことがない言葉が終わると、池の中に水が湧いてきた。いきなり出てきた水は透明で、とても綺麗。光が反射してきらきらした。 「こないだの魚、もう放した? あれ……いないね」  突然現れたのはミカエルだった。白い翼を広げて、空中に浮いてる。見上げる僕の首が痛くなっちゃう。 「カリスの首が痛くなるから、降りてこい」 「……うーん、隣で怖い顔してる悪魔を遠ざけてよ」  パパが声をかけたのに、ミカエルは変なことを言う。隣はマルバスだもん。いつも優しいのに、そんな呼び方したら嫌だな。首が疲れたので俯いた僕は、撫でる手に気づいてまた顔を上げた。 「ごめん、君のお友達なんだね。失礼な言い方をした」  頭を撫でたミカエルが謝った。 「マルバスはいい人だよ。だから仲良くして」  お願いしておく。だって僕の大切なお友達なのに、マルバスとミカエルが仲悪いと悲しい。少し考えて、ミカエルは両手を重ねて「ごめんね」ともう一回謝ってくれた。 「陛下、カリス様の友人に天使はちょっと」 「僕のお友達なのに、ダメなの?」  文句を言ったマルバスに尋ねる。うっ! と言葉に詰まったマルバスへ、パパが説明を始めた。ミカエルは僕を傷つけないと誓約? したこと。僕が前に顔の黒い天使に誘拐されたから、マルバスは心配だったみたい。 「僕、もう拐われたりしないよ。ミカエルはパパと僕のお友達だから、悪いこともしないと思う」 「「「友達……」」」  皆で同じこと言うんだね。お友達でしょ? 首を傾げると、曖昧な笑みを浮かべて顔を見合わせた。それから僕に向かって頷く。ほら、やっぱりお友達だった。パパとマルバスがお友達で、パパがミカエルとお友達。だからマルバスとミカエルもお友達になれるよね。 「カリス、水がいっぱいになったぞ」 「うわぁ! 本当だ! お水、外に漏れてない?」 「確認しようか」  パパに言われて、僕は一緒に池の周りを歩いた。水が漏れてる場所はないみたい。もう少し時間が経ったら、もう一度確認するんだって。 「確認が終わったら水を出して、土や草を入れような」 「うん!」  土と石と草を入れると、お魚の家が出来るんだよ。プルソンに教えてもらったの。上から鳥に襲われないよう、草の影に隠れるお魚もいるんだよ。 「カリスはちゃんと勉強して偉いな」  パパの言葉が嬉しい。お風呂のお魚、早く池に入れてあげたいね。 「……いろいろ、本当にごめん。風呂に入れたんだね……迷惑かけたのは分かった」  ミカエルが申し訳なさそうに謝るけど、僕はお魚嬉しかったよ?
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!