最後のドライブはどしゃ降りの彼方

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 "すみません。迎えに来てください"  娘からそんなメッセージが送られてきた。  外は大嵐。  全く。だからやめておけと言ったのに。  俺の反対を押し切って友達と遊びに行った高校生の娘。  夜にかけて雨が酷くなることは天気予報で散々言われており、電車も止まると予想されていた。  危険だからと思って引き止めたが、半ば喧嘩のようになってしまって、早めに帰ってくるよう約束し、渋々送り出したのだった。  にもかかわらず、こんな時間まで遊びふけって、予想通り帰れなくなって迎えを頼んでくるとは。  全く誰に似たんだか。  やっぱり普段から門限を決めた方が良かったのか?  でも、あんまり制限つけすぎると嫌われるかもしれないし……。  ぐだぐだとそんなことを考えながら、財布とスマホをズボンのポケットに突っ込み、玄関へ向かう。  靴箱の上に無造作に置いてある車の鍵と、扉に立て掛けてあるビニール傘を手にして家を出た。
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