最後のドライブはどしゃ降りの彼方

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 ピカっと辺りが一瞬明るくなり、遅れてゴロゴロと鳴り響く。  車に乗り込む前に、早くもズボンの裾が雨で濡れてしまった。 「さてさて。我が家の姫を助けに行きますか」  車に乗り込んで、そんなことを呟いた。  娘は車で30分ほどかかる駅の中で待機しているらしい。  他の友達はどうしたのだろうか。  きっと帰れていないだろうな。  まさかあいつ、俺に全員送らせるつもりか?  全く人使いが荒い。  ほんと誰に似たんだか。  そんな事を考えながら車を走らせていく。  街灯だけの住宅街を抜ければ、途端にネオンに包まれる。  都会の街は嵐の夜でも明るく輝いていて、巧みに人を誘い出す。  風に煽られながら歩く通行人に気をつけながら、ゆっくりと運転していく。  通り慣れた道路だが、大雨の日のフロントガラス越しに見る景色は、何だかいつもと違って見えた。  何となくちらりと外を眺めると、店の並びに違和感を覚えた。 「あれ? あの店……」  そこには、数週間前に閉店してしまった、個人経営の居酒屋があった。  ただ休業してただけだったのか?  いや、でも確かに看板がおりてたような気がするんだけど……。  赤信号に差し掛かり、スピードを落としていく。  不思議に思って潰れたはずの居酒屋を凝視していると、突然窓ガラスをノックされた。
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